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あかいひめとくろいおうじ

赤い姫と黒い皇子

小川 未明

「童話」1922(大正11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,237 字 · 9 页

青空文庫

この結婚は不吉でございます。もし、ご結婚をなされば、この国に疫病が流行します。」と、おばあさんの予言者はいいました。

お姫さまは、これを聞いて、心配なされました。どうしたらいいだろうかと、それからというものは、毎日、赤い、長いそでを顔にあてては、泣いて悲しまれたのであります。

皇子とお姫さまの、約束の結婚の日が、いよいよ近づいてまいりました。お姫さまは、どうしたらいいだろうかと、お供の人々におたずねになりました。

このとき、黒いシルクハットをかぶって、燕尾服を着た皇子を乗せた、黒い馬車の幻が、ありありとお姫さまに見えたのであります。お姫さまはぞっとなされました。

「なんでも執念深い皇子だといいますから、お姫さまは、早くこの町から立ち去って、あちらの遠い島へお逃げになったほうが、よろしゅうございましょう。あちらの島は、気候もよく、いつでも美しい、薫りの高い花が咲いているということであります。」と、お供のものは申しました。

お姫さまは、だれも気のつかないうちに、あちらの島へ身を隠すことになさいました。ある日のこと三人の侍女とともに、たくさんの金銀を船に積まれました。