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あかいてぶくろ
赤い手袋
小川 未明
「小学男生」1921(大正10)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,644 字 · 4 页
政雄は、姉さんからこさえてもらいました、赤い毛糸の手袋を、学校から帰りに、どこでか落としてしまったのです。
その日は、寒い日で、雪が積もっていました。そして、終日、空は曇って日の光すらささない日でありましたが、みんなは元気で、学校から帰りに、雪投げをしたり、また、あるものは相撲などを取ったりしたので、政雄も、いっしょに雪を投げて遊びました。そのとき、手袋をとって、外套の隠しの中に入れたような気がしましたが、きっとよく入れきらなかったので、途中で落としてしまったものとみえます。
政雄は、家に帰ってから、はじめてそのことに気づきました。いよいよなくしてしまいますと、なつかしい赤い手袋が目についてなりませんでした。それも、そのはずであって、毎日学校の往来に、手にはめてきたばかりでなく、町へ買い物にやらされたときも、この赤い手袋をはめてゆき、お湯にいったときも、この赤い手袋をはめてゆき、また、夜、かるたを取りに近所へ呼ばれていったときも、この赤い手袋をはめていったからであります。
それほど、自分に親しいものでありましたから、政雄は、惜しくてなりません。