轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかいへや
赤い部屋
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1925(大正14)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,114 字 · 36 页
なる程見れば、すぐ二三間向うに一台の自動車が停っていて、その側に人らしいものが倒れてウーウーと幽かにうめいています。交番といっても大分遠方ですし、それに負傷者の苦しみがひどいので、運転手は何はさて置き先ず医者を探そうとしたのに相違ありません。
私はその辺の地理は、自宅の近所のことですから、医院の所在などもよく弁えていましたので早速こう教えてやりました。
「ここを左の方へ二町ばかり行くと左側に赤い軒燈の点いた家がある。M医院というのだ。そこへ行って叩き起したらいいだろう」
すると運転手はすぐ様助手に手伝わせて、負傷者をそのM医院の方へ運んで行きました。私は彼等の後ろ姿が闇の中に消えるまで、それを見送っていましたが、こんなことに係合っていてもつまらないと思いましたので、やがて家に帰って、――私は独り者なんです。――婆やの敷いて呉れた床へ這入って、酔っていたからでしょう、いつになくすぐに眠入って了いました。
実際何でもない事です。若し私がその儘その事件を忘れて了いさえしたら、それっ限りの話だったのです。ところが、翌日眼を醒した時、私は前夜の一寸した出来事をまだ覚えていました。