轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

04 三度目の正直

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,351 字 · 43 页

青空文庫

――そう怒らねえで聞いてくれ。

猪之は手を振りながら遮った。慥かに自分はそう思った、ところがこのあいだ、お松に暇が出たので、さそい合わせて浅草寺へ参詣にゆき、その帰りに駒形の鰻屋で飯を喰べた。鰻が焼けて来るまで、酒を飲みながら話をし、お松にも盃を差した。お松はいやがったが、盃に三つばかり飲み、すると顔がぼうと赤みを帯びて、身ごなしや眼つきがたいそう色っぽくなってきた。それはいい、そこまではいいんだが、やがてお松は酌をしながら、斜交いにこっちをにらんで、浮気をしちゃあいやよといった。

――浮気なんかしないで、あたしはあなたのもの、あなたはあたしのものよ、よくって。

おらあ総身がぞっとなった。

――きまってやがら、と藤吉が云った。また背骨をどうかされたような気持がしたんだろう。

――あにきはなんとも感じねえか。

――夫婦になる者なら、そのくらいのことを云うのにふしぎはねえだろう。

――あなたはあたしのもの、うっ。

猪之は本当に肩をすくめて身震いをした。それはちょうど、毛虫の嫌いな者が衿首へ毛虫を入れられでもしたような、しんそこ肌が粟立つという感じであった。