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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
06 鶯ばか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,626 字 · 45 页
――姉妹でもこんなに違うことがあるんだな。
縹緻もぬきんでているし、挙措もおっとりと優雅で、色や香りの濃厚な花を連想させるちぐさとは、あまりに違っているし、そのうえふしぎなことに、いまの登にはちぐさよりもまさをのほうがはるかに好ましく、むしろ強くひきつけられたことに自分で驚いた。彼はそれが自分でも恥ずかしかったようで、母がそれとなく縁組のことに触れたとき、もう少し経ってから返辞をします、とぶあいそに答えただけで、すぐにまた養生所の話に戻った。
――あなたのようすでやっと安心しました。
母は別れるときに云った。登の熱心な話しぶりで、彼が養生所へ入れられたのを、いまではもう怒っていないということがわかったらしい。さも安堵したといいたげに、母は弱よわしく微笑しながら云った。
――留守にあんなことがあって、あなたの気性が心配でしたし、ちょうど新出先生からのお話が出たものだから、さぞ怒るだろうとは思ったけれどね。
――それはもう済んだことです。
養生所へ入ったことは、却ってよかったと思っています、と登も笑いながら云った。それから、痛風には患部を温めるのもいいが、両便の通じ、特に排尿を規則正しくしなければならないこと、また食事のとりかたなども注意して、登は別れを告げた。