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えちごのふゆ
越後の冬
小川 未明
「新小説」1910(明治43)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,272 字 · 15 页
ビューウ、ビューウ……風の音! つづいて凄じい車の轟きがした!
ほのぼのと夜が明け離れてから四時間ばかり経た。烏は畦の並木に止まって悲しそうな声で鳴いている。ちょうど雪の晴間であった。四辺はどんよりと曇って、今にでもまた降って来そうな空模様である。
線路の上に五六人、集って何やら見ていた。見ているのではない。取片附ていた。雪が血に染って子供の死体は滅茶苦茶であった。集っているうちに一人、頭から黒い布を被って、顔色が蝋のように青白い、窶れた女がある。眼は泣き腫らして、唇の皮が厚く乾らびて、堅く死骸に抱き付いたまま身動きすらしなかった。
それは太吉の母であった。