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しゅみのいでん
趣味の遺伝
战争后的街头,看热闹的人群挤得水泄不通。夏目漱石用荒诞的笔触,带你思考人性里那些继承来的疯狂和趣味。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,235 字 · 77 页
自宅の渋柿は八百屋から買った林檎より旨いものだ。
翌日は学校が午ぎりだから例刻を待ちかねて麻布まで車代二十五銭を奮発して老人に逢って見る。老人の名前はわざと云わない。見るからに頑丈な爺さんだ。白い髯を細長く垂れて、黒紋付に八王子平で控えている。「やあ、あなたが、何の御友達で」と同僚の名を云う。まるで小供扱だ。これから大発明をして学界に貢献しようと云う余に対してはやや横柄である。今から考えて見ると先方が横柄なのではない、こっちの気位が高過ぎたから普通の応接ぶりが横柄に見えたのかも知れない。
それから二三件世間なみの応答を済まして、いよいよ本題に入った。
「妙な事を伺いますが、もと御藩に河上と云うのが御座いましたろう」余は学問はするが応対の辞にはなれておらん。藩というのが普通だが先方の事だから尊敬して御藩と云って見た。こんな場合に何と云うものか未だに分らない。老人はちょっと笑ったようだ。
「河上――河上と云うのはあります。河上才三と云うて留守居を務めておった。その子が貢五郎と云うてやはり江戸詰で――せんだって旅順で戦死した浩一の親じゃて。――あなた浩一の御つき合いか。