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おどるいっすんぼうし
踊る一寸法師
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,734 字 · 16 页
お花はピッタリ身についた肉色のシャツ一枚だった。緑さんはダブダブの赤い道化服をつけていた。そして、彼の方は、相も変らず、大きな口でニヤリニヤリと笑っていた。
「口上を云うんだよ、口上を」
誰かが怒鳴った。
「困るな、困っちまうな」
一寸法師は、ぶつぶつそんなことをつぶやきながら、それでも、何だか喋り始めた。
「エー、ここもと御覧に供しまするは、神変不思議の大魔術、美人の獄門とござりまして、これなる少女をかたえの箱の中へ入れ、十四本の日本刀をもちまして、一寸だめし、五分だめし、四方八方より田楽刺しと致すのでござります。エーと、が、それのみにては御慰みが薄い様にござります。か様に斬りさいなみましたる少女の首を、ザックリ、切断致し、これなるテーブルの上に、晒し首とござあい。ハッ」
「あざやかあざやか」「そっくりだ」賞讃とも揶揄ともつかぬ呼声が、やけくそな拍手に混って聞えた。
白痴の様に見える一寸法師だけれど、流石に商売柄、舞台の口上はうまいものだ。いつも八字髭の手品使いがやるのと、口調から文句から、寸分違わない。
やがて、美人玉乗りのお花は、あでやかに一揖して、しなやかな身体を、その棺桶様の箱の中へ隠した。