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みがわりのはなよめ

身代りの花嫁

野村 胡堂

「少女倶楽部」1934(昭和9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,685 字 · 22 页

青空文庫

咄嗟の間に身をかわして、大した怪我もなくて済みましたが、まっすぐに頭の上に落ちたら、詩子はどんな事になったかも解らなかったのです。

後で調べて見ると、大電灯の笠をとめた螺旋を抜いて、細い針金で細工をして、電灯の紐を下から「消」の方へ引くと同時に、落ちて来る仕掛になって居たのでした。

応接間や書斎の灯は詩子が消すことになって居る事まで知り抜いた者の仕業でしょう。

この事件も一応警察に報告して置きましたが、偽電灯屋の正体が解らないので、犯人の見当は少しもつきません。

そのうち主人の良一は会社の用事で大阪まで出張することになりました。

「こんな物騒な時だから、会社の方へよく話して、代の者を行って貰おうかしら」と言いましたが、

「大丈夫よ、お兄様、私が引受けますから」勇美子はなんか自信があるらしい事を言ってニコニコして居ります。

「それでは女探偵に頼むとするか、大阪の用事は二日で済むから」

氏家竜太郎を救った手際を知って居るので、兄の良一も安心して大阪に出かけました。

その晩。

春藤家の庭に二人の曲者が忍び込んで居りました。木蔭を拾って、詩子の居間の方へ行きながら、