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こんどういさみとかがく
近藤勇と科学
直木 三十五
「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页
戻っても、何うなるかを江戸にいて、鎧まで金に代えていた旗本であった。軍用金をいくらか貰って、ようよう息をついできた人であった。
(新撰組の人達は、一人でも、暮らして行ける人だから――)
と、考えていた。
「貴隊へ御加えの程を――」
土方は、返事をしないで入って行った。
「御勝手方は、何処だ。食事だ。食事だ」
と、二三人が云った。
「手前が、心得ております。只今、話してきます」
旗本の一人が走出すと、残りの人々も
「暫く、おまち下さい」
と云って、走って行った。
五
近藤勇は、黒縮緬の羽織、着物で、着流しのまま坐っていた。
「敗けたか」
口許に、微かな笑を見せて、じっと、土方の顔をみた。
「見事――総敗軍」
「何うして」
「手も足も出ぬ。鉄砲だ」
「鉄砲?」
「うん」
「鉄砲に、手も足も出んとは?」
「貴公は、三匁と、五匁位より知らん。あいつは、五十間せいぜい六十間で当てるのはむずかしいが、洋式鉄砲は、二三町位で利く。一刀流も、無念流も無い。鎧も、甲も、ぷすりぷすりだ」
「躾けられんか。銃口を見て何の辺を覗っているか――」
「あはははは」
土方は、大笑いして
「蛤御門の時より、一段の進歩だ。