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こんどういさみとかがく

近藤勇と科学

直木 三十五

「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页

青空文庫

「伏せっ。長追いすなっ」

走って行った七八人の半分は、軒下へ逃込み、半分は倒れて、よろめきつつ、這って逃げてきた。

「卑怯なっ」

と、一人が、赤くなった眼で、敵を睨んだ。

「味方の鉄砲隊は?」

「ここは、新撰組一手で戦うと云ったから、墨染の方へ廻ったらしい」

「使を出して――」

「馬鹿っ、鉄砲隊に、あれだけ威張っておいて、今更頼みに行けるか」

人々は、怒りと、無念さと、屈辱とに、逆上しながら、じりじり這って退いた。

正月元日だった。吹き下してくる風が、凍っていて、時々、顔へ砂をぶっかけた。硝煙の臭が、流れてきた。

鎧が、考えていたよりも重いし、這うのに、草摺が邪魔になった。袴をつけている人は、平絹の、仙台平のいい袴を土まみれにしていたし、黒縮緬の羽織に、紐をかけ、竹胴をつけている人は、水たまりに袖を汚していた。

組の者の外に、誰も見てはいなかったが、敵の前で、這っているのを、自分で、苦笑し、侮蔑し――だが

(次の戦いで)

と、思って、慰めていた。土方が

「上村、貴公、鉄砲が打てるか」

と聞いた。

「打てませぬ」

「竜公、貴様は?」

「あんな物位、すぐに――」

土方は大声で