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ついおくのとうや
追憶の冬夜
寺田 寅彦
「短歌研究 第三巻第十二号」1934(昭和9)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,522 字 · 9 页
マッチの軸木を並べてする色々の西洋のトリックを当時の少年雑誌で読んではそれを実演して友達や甥などと冬の夜長を過ごしたものである。
まだ少年雑誌などというものの存在を知らなかった頃の冬夜の子供遊びにはよく「火渡し」「しりつぎ」をやったものである。日本紙を幅五、六分に引き裂いたのに火鉢の灰を少し包み込んで線香大の棒形に捻る。その一端に火をつけて「火渡し」と云って次の人に渡すと、次の人は「しりつぎ」と答えて次へ廻す、それからだんだんに東京でいわゆる「尻取り」をするのであるが、言葉に窮して考えている間に火が消えるとその人は何かしら罰として道化た隠し芸を提供実演しなければならないのである。
その外に「カアチ/\」という遊びがあった。詳しいことは忘れたが、何でも庄屋になる人と猟師(加八という名になっている)になる人の外に、狸や猪や熊や色々の動物になる人を籤引きできめる。そこで庄屋になった人が「カアチ/\鉄砲打て」と命ずると、「カアチ(加八)」になった子が「何を打ちましょう」と聞く。そこで庄屋殿が例えば「狸」と仰せられると加八は一同の顔色を注意深く観察して誰が「狸」