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とうめいねこ

透明猫

海野 十三

「少年読物」1948(昭和23)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,223 字 · 21 页

青空文庫

青二はそのとき、わあわあと泣いたものだ。ミイが殺されてから、青二の家には猫がいない。

「にゃーお」また猫は、道ばたで鳴いた。崖下の草むらの中だった。

青二は口笛を吹くのをやめて、猫の鳴き声のする方へ近づいた。

が、猫の姿は見えなかった。どこへにげこんだのだろうと思っていると、また「にゃーお」と猫はないた。

青二はぎくりとした。というのは、猫のないたのは彼が草むらの方へ顔をつきだしているそのすぐ鼻の先ともいっていいほどの近くだったからである。

しかも、猫の姿は見えなかった。

青二は、うしろへ身をひいて、顔色をかえた。ふしぎなこともあればあるものだ。たしかに猫のなき声がするのに姿が見えないのである。

「にゃーおん」猫はまたないた。青二は、ぶるっとふるえた。彼は、あることを思いついたのだ。

(これはひょっとすると、死んだミイのたましいがあらわれたのではないだろうか)

死人のたましいが出てくる話は、いくどもきいたことがある。しかし死んだ猫のたましいが出てきた話は、あまりきいたことがなかった。でも、今はそうとしか考えようがないのだった。

「おいミイかい」

青二は、思いきって、ふるえる声で、そういって、声をかけた。