轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とじょうのはんにん

途上の犯人

浜尾 四郎

「犯罪科学」1930(昭和5)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,477 字 · 38 页

青空文庫

少くとも自分は、韮を噛むような思いをして一生を送らなければならない。しかもひろ子は一日一日と生長している! 自分と敏子との間にあるこの障害は一日一日と大きくなっているのだ。

若し、ひろ子が死んでくれたら! そうです、私の頭に一番はじめに浮かんだのは、若しひろ子が死んだら! という事でした。もしひろ子が死ねば私と妻との間には過去以外には何もなくなるはずです。いいかえれば、ひろ子が死ぬ事はわれわれを幸福にする事なのです。

こう思いついてから、私はひろ子が死ぬ事ばかりを願っていました。一つには理屈でなく、私にはひろ子は全く可愛くないのでした。だから、死んだら、死んだら、と思いつづけるようになってしまったのです。

私がひろ子を殺そうと思い付いたのは、偶然あなたの探偵小説を読んだ時なのです。さきにも申したように先生の小説には常に法律上の挙証の問題が取り扱われています。法律上罰せられないように、人を殺すには直接の証拠を残さなければいいという事です。法律にふれても、実際上罰せられぬように殺せという事です。私は先生の小説を凡て読みました。そうしてその中から一つの確実な何物かを掴んだのでした。