轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とじょうのはんにん

途上の犯人

浜尾 四郎

「犯罪科学」1930(昭和5)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,477 字 · 38 页

青空文庫

汽車が三島を発した時、とうとう此の蛇ははっきり私の目の前に首を出してしまったのである。

二

汽車が三島駅を発すると間もなく、後から急に、

「もしもし」

という声がしたので、私はとうとう来たなとびくっとした。

私は、それ迄その男がどんなに腰かけ、どんな風にしていたかは少しも見ないようにして居た。

現に(これは甚だ尾籠な事で恐縮だが)箱根を過ぎた時、尿意を催したのだが、この車の便所に行くには、どうしても彼の前を通らねばならないので、私はそれを避けてわざわざ後方の車の便所に行った位なのである。

だから、彼が今までどんな表情をしていたか知る由もないがおそらく私の頭を見つめて居たのだろう。

「もしもし」

と云われた時、すぐにこれがあの男の声だと感じたからすぐに私は振り向いた。

ふり返って見た時は、既に私の右手に、その男がにやにやしながら突っ立って居るのである。

「…………」

「××先生じゃありませんか。どうもさっきからそうだと思って居たのですが」

人の名を聞く時は、まず自ら名乗るのが礼儀である。私はこの問が快くなかった。

「あなたはどなたですか?」