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じんるいのせいぞんきょうそう

進化と人生(上)

丘 浅次郎

丘浅次郎『進化と人生(上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:人類の生存競争、教育と迷信、誤解せられたる生物学、人道の正体、生物学的の見方、生物学より見たる教育、戦争と平和、動物界における善と悪、脳髄の進化、民族の発展と理科、理想的団体生活。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 页

青空文庫

誤解せられたる生物学

科学の中には教育のない人々からつねに誤解せられているものが少なくない。たとえば地質学の教室へ外国人をつれてきて、ここは土壌を分析していかなる作物に適するかを調べるところであると、説明した案内者もある。また日々の天気予報は天文台から出るものと心得て、星学者に向かってそのあまりあてにならぬことを盛んに攻撃しかけた紳士もある。しかしこれらはいずれも極端な例であって、今日一通りの普通教育を受けた人ならば、かくはなはだしい間違いをする者はなかろう。しかるにここに一つ普通教育を受けた人々はもちろん、教育の任に当たれる人々までが誤解しているごとくに見える科学がある。それはほかでもない。すなわち表題にかかげた生物学であるが、誤解の結果としてこの学の真の価値が認められず、きわめて重要な性質のものでありながら、すこぶる等閑に付せられていることはわれらのつねにもっとも遺憾に堪えぬところであるゆえ、ここにいささかその誤解せられている点、その誤解せられる理由、ならびに真の生物学とはいかなるものなるかを述べておきたいと思う。

まず第一に今日のところでは生物学という名称さえも世間には広く用いられていない。