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じんるいのせいぞんきょうそう
進化と人生(上)
丘 浅次郎
丘浅次郎『進化と人生(上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:人類の生存競争、教育と迷信、誤解せられたる生物学、人道の正体、生物学的の見方、生物学より見たる教育、戦争と平和、動物界における善と悪、脳髄の進化、民族の発展と理科、理想的団体生活。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 页
利己心の凝固結晶したものかと思われるほどであるゆえ、かかる方面のみを見ると人道なるものはどこに存するかと疑わざるをえぬような心地がする。
しかしながら、また広く他人の行為を観察し、かつ自分の内心を顧みると、他人の悲しみを聞けばともに悲しくなり、他人の苦しみを見れば、これを助けたく感ずる利他同情の心の存在していることもまたたしかな事実である。仕合せの悪い悲惨な境遇にある人の話を聞けば、自然に涙が出て、どうにかして救うてやりたいとの心が生じ、重い荷をひく馬が坂で、苦しんでいるところを見れば、実に憐れである、助けてやりたいとの気になるが、この同情の心は決して表面を飾るための偽でもなく、教えられて覚えた結果でもなく、真に生まれたときから備わっている本能的性質である。その程度は各人決して一様ではないが、とにかくかかる性質がある程度において、たれの心の中にも存在することだけは決して疑うべからざることで、これがすなわちいわゆる人道なるものの源である。現今のありさまから考えてみると、人間には利他同情の心は利己心に比してはきわめて少量に存することも断言ができよう。