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しぜんかいのきょぎ
進化と人生(下)
丘 浅次郎
丘浅次郎『進化と人生(下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:自然界の虚偽、進化論と衛生、動物の私有財産、民種改善学の実際価値、我らの哲学。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 页
動物では親が子の世話をするのは、子が成長し終わるまでの間に限られていて、その以上まで保護するごときことは決してしないのである。それゆえ、動物では生存のための競争がいたって公平で、筋肉神経等のまさった者と、筋肉神経等の劣った者とが競争する場合には、前者は必ず勝ち、後者は必ず敗ける。先祖より譲られた財産によって神経筋肉ともに劣った者がおごり栄え、神経筋肉ともにまさった者がそのため苦しめしいたげられるというような不条理きわまることは、他の動物では決して見ることはできぬ。五尺の身体が完全に発達し終わってからも、なお親の脛をかじって安逸に世を渡る息子、祖父の造った身代を受け継ぎながら道楽をつくして、ついに売家と唐様で書く孫などは、実に人間社会の特産物である。
なお人間社会にのみ存して、他の動物には決してない特殊の財産制度は、物を貸して利子を取ることである。これは人間と他の動物との財産制度の絶対的に相違する点で、根本から全く異なっているゆえ、動物界にはこれに比較すべき何らのものもない。ある雑誌に、ある時あるところで学者連が集まって「人とは何ぞや」という問題を論じていた際に、そこにいあわせた甲法学博士が「人とは借金を払う動物なり」