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しぜんかいのきょぎ
進化と人生(下)
丘 浅次郎
丘浅次郎『進化と人生(下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:自然界の虚偽、進化論と衛生、動物の私有財産、民種改善学の実際価値、我らの哲学。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 页
この細胞が分裂して多数の細胞となり、細胞は次第に組み合うて各種の器官を造り、ついに小さな人間の形ができる。子宮の中にとどまり、母体からの滋養分に養われ、最初きわめて小さかった胎児も漸々成長し、月満ちて生まれるころにはすでに相応な大きさの赤子となる。また生まれた後は、初めは乳により、後には食物によって盛んに大きくなり、生殖腺が成熟すれば自然に男女相求め、幾人かの子を生み、泣いたり笑うたりしている間にいつか年をとって、くだらぬ病気で死んでしまう。しこうして死んだのちはいかになりゆくかというに、焼かれて灰になるか、埋められて腐るか、いずれにしてももはや元の人間ではなくなる。人間の各個体の始めから終わりまでを簡単に述べれば右のとおりで、これだけは、まず確かなことのように思われる。
しからばかような人間の集まりなる人類はいかにして生じたものかというに、これは昔はさっぱり見当もつかなかったが、生物学の進歩によって今ではある程度まで推察することができるようになった。これを論ずるのは生物進化論であって、詳しく説けば、それだけでも大部の書物になるゆえ、ここにはとうてい述べるわけにはゆかぬが、その大要だけをつまんでいえば次のごとくである。