轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うんめいろんしゃ
運命論者
国木田 独歩
「山比古 第十號」1903(明治36)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,357 字 · 34 页
ですよ。『惑』は悲を苦に変ます。苦悩を更に自乗させます。自殺は決心です。始終惑のために苦んで居る者に、如何して此決心が起りましょう。だから『惑』という鈍い、重々しい苦悩から脱れるには矢張、自滅という遅鈍な方法しか策がないのです。」
と沁々言う彼の顔には明に絶望の影が動いて居た。
「如何いう理由があるのか知りませんが、僕は他人の自殺を知って之を傍観する訳には行きません。自滅というも自殺に違いないのですから。」と自分が言うや、
「けれども自殺は人々の自由でしょう。」と彼は笑味を含んで言った。
「そうかも知れません。然し之を止め得るならば、止めるのが又人々の自由なり義務です。」
「可う御座います。僕も決して自滅したくは有りません若し貴様が僕の物話を悉皆聴て、其上で僕を救うの策を立てて下さるのなら僕は此上もない幸福です。」
斯う聞いては自分も黙って居られない、
「可しい! 何卒か悉皆聴かして貰いましょう。今度は僕の方からお願します。」
三
「僕は高橋信造という姓名ですが、高橋の姓は養家のを冒したので、僕の元の姓は大塚というです。
大塚信造と言った時のことから話しますが、父は大塚剛蔵と言って御存知でも御座いますか、東京控訴院の判事としては一寸世間でも名の知れた男で、剛蔵の名の示す如く、剛直一端の人物。