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うんめいろんしゃ

運命論者

国木田 独歩

「山比古 第十號」1903(明治36)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,357 字 · 34 页

青空文庫

持て生れた気象なら致方もないが、乃父はお前のような気象は大嫌だ、最少し確固しろ。』と真面目の顔で言いますから、僕は顔も上げ得ないで黙って居ました。すると父は僕の傍に腰を下して、

『オイ信造』と言って急に声を潜め『お前は誰かに何か聞は為なかったか。』

僕には何のことか全然解らないから、驚いて父の顔を仰ぎましたが、不思議にも我知らず涙含みました。それを見て父の顔色は俄に変り、益々声を潜めて、

『慝すには及ばんぞ、聞たら聞いたと言うが可え。そんなら乃父には考案があるから。サア慝くさずに言うが可え。何か聞いたろう?』

此時の父の様子は余程狼狽して居るようでした。それで声さえ平時と変り、僕は可怕くなりましたから、しく/\泣き出すと、父は益々狼狽え、

『サア言え! 聞いたら聞たと言え! 慝すかお前は』と僕の顔を睨みつけましたから、僕も益々可怕なり、

『御免なさい、御免なさい』とたゞ謝罪りました。

『謝罪れと言うんじゃない。若し何かお前が妙なことを聞て、それで茫然考がえて居るじゃないかと思うから、それで訊くのだ。何にも聞かんのなら其で可え。サア正直に言え!』と今度は真実に怒って言いますから、僕は何のことか解らず、たゞ非常な悪いことでも仕たのかと、おろ/\声で、