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みちづれ
道づれ
宮本 百合子
「文芸」1937(昭和12)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,491 字 · 41 页
あった。
重吉は凝っと根気よく聴いていた。そして、非常に沢山いろいろの組合わせで言われているが、立ち入って詳細に見ると、様々の形で今日印刷されていることの範囲にとどまっているのを感じた。重吉の天性のうちに在る芸術的な或る感覚は、もっと身に引きそった事実として、例えば作者の思想と、作品が感性的なものとしてあらわれるべき形象化との相互関係、評価の問題にふくまれていて、而も十分とらえられていない自然現象と人間の実践との混同などに、極めて微妙な未発展の部分がふくまれていることを告げているのである。
重吉は、大木初之輔が、その月に或る文学雑誌に発表した論文をとりあげた。重吉の態度には、別に自分というものを一同の前に押し出そうとしていない青年の自信あるさっぱりした淡白さと同時に、論議そのものは飽くまでつきつめて行こうとする骨組みがあるのであった。
大木の論文を読んでいない者があったりして、重吉の提出した問題は、その席では二三補足的な意見を出されただけで終った。
先ず今中が立って、鳥打帽をかぶり、茶毛のジャケツの襟を立てて出て行った。編輯関係のものだけのこり、