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みちのうえでみたはなし
道の上で見た話
小川 未明
「こどもペン 3巻4号」1949(昭和24)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,679 字 · 8 页
私は、こんなことで、びっくりするんでは、戦地へいって、大砲の音を聞いたら、どうするだろうと思いましたが、かわいそうにその後、どうなったか知りません。
それから、自分も、村にいたくなくて、町の工場で働いたのですが、戦争がおわったけど、村へ帰る気がしなくて、こんなことをするようになったのです。この馬も、飼い主がろくろくえさをやらないので、こんなにやせているのです。もっとも、人間さえ食えないのだから、口のきけない動物は、みじめなもんです。」と、馬子は、目にはいりかけるあせをふきながらいいました。
「おれは、復員して、間がないが、まだ、やさしい顔にであわない。戦争のため、みんな、人間らしさをなくしてしまったんだな。いつまでも、こんなだったら、この国はほろびてしまうだろう。さあ、早く水をくんできて、馬に飲ませてやんなよ。」と、若者は、馬子をうながして、自分は、よごれた馬のたてがみをなでました。
「そんなら、あとを、おたのみします。」と、馬子は、バケツを持って、あちらへ走っていきました。
始終を見ていたぼくは、たとえ、悲しみや苦しみに、たたきのめされても、正しく生きようとするものには、まだ美しい思いやりがあるのを、真にうれしく、力づよく感じました。