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せんきょにんにあたう

選挙人に与う

大隈 重信

「新日本 第貮卷第五號」冨山房、1912(明治45)年5月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,553 字 · 15 页

青空文庫

二 〔選挙と地方利益〕

而してその間になんらの陰険なる野心もなく、またなんら選挙人を欺くこともなく、公明正大の裡に第一回の総選挙は行われたのである。かくの如くにして選挙されたる議員の帝国議会に於ける態度は実に立派なもので、これに対しては当局者も充分なる敬意を払って莅んだ。決して政治的権力を以てこれを圧迫するが如きことなく、なるべく調和的に官民協力して国事を真面目に議するという有様であった。この勢いで進めば我が国立憲政治の将来も頗る有望だと思われた。

然るに不幸にして第二回の議会は、端なくも予算案のことから政府と衝突を惹き起して解散を命ぜられ、その結果がついに憲法史上に一大汚点を留めたる選挙大干渉となり、人を殺し、家を焼き、ある地方の如きは一週間も選挙が出来ずに戦った。とうとう軍隊を繰出してその警護の下に纔かに選挙を終ったという有様である。この大干渉が人心に悪影響を与えたことは非常なもので、それから三回、四回、五回と選挙の数を重ねるに随って、選挙界の気風は益々堕落し、ついに有志と唱うる一種の周旋人が跳梁跋扈して、ここに選挙の真意義は全く没却さるるに至ったのである。

二 〔選挙と地方利益〕