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いぶつ・いせきとれきしけんきゅう

遺物・遺蹟と歴史研究

喜田 貞吉

「民族と歴史 第一巻第四号」1919(大正8)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,668 字 · 13 页

青空文庫

これは単に一例に過ぎないが、わが日本民族の歴史は、かくのごとき方法によって、その出発点をいわゆる有史以前に求むべきものである。

しかしながら、遺物・遺蹟そのものの研究は、とうてい考古学者の任務に属する。余輩歴史家はその研究の結果を借りて、余輩の研究に応用すればそれでよいのである。ただ悲しいかなわが考古学界の進歩は、目下なおはなはだ幼稚なものであって、いまだ歴史家の希望するがごとき材料を供給し得るの地位に到達していない。したがって余輩歴史家は、やむを得ずみずから歴史を研究するの傍、ある程度までは進んでこれらの方面に材料を穿鑿し、これを利用しなければならぬ場合が多い。もとより余輩は、考古学のためにこれらの遺物・遺蹟を研究するのではない。必要なる歴史材料として、それに必要なだけの考古学的研究を加えるに過ぎないのである。専門家より見られたならば、徒労も多かろう。見当違いのことも少くはなかろう。これに対しては専門家諸賢の、忌憚なき鞭韃と誘掖とを希望したい。余輩の意見にして毫も採るに足らぬものならば、速かにこれを廃棄せしめよ。余輩の意見にして一面の真理あるものあらば、これを助長するの親切を吝むなかれ。