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なかがわのすずきつり

那珂川の鱸釣り

佐藤 垢石

「釣趣戯書」三省堂、1942(昭和17)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,507 字 · 7 页

青空文庫

季節は、夏の土用に入ってからがいいのだが、土用にはまだ一ヵ月も間のあることだから、そのとき改めて案内しよう。と、いうのである。

その後、その役人に会ったときは、もう夏の土用に入っていた。ちょうど季節がよかろうから、一度、手を取って釣り方を教えて貰いたいと申し込んだところ、いや案内したいのは山々であるが僕はいま腹の具合を悪くしていて、残念ながら川へ出られない。けれど先日説明した通りにやれば、釣りに心得ある人ならば釣れるから、やってご覧なさい。と、いう情けない言葉だ。

やむを得ない。然らば、一人で行って試してみようと決心した。その頃、ちょうど故郷から老父が訪ねてきていた。そこで、このことを相談すると、それだけ説明をきいていれば、自分の思案でやれぬことはない。そこが釣り師の勘というものだ。わしも、いっしょに行ってやるから、きょうこれから直ぐ那珂川へ行き、大いに大鱸を釣ってやろうじゃないかという次第になった。

釣り場は、水戸市から一里ばかり上流の国田渡船場の上手の落ち込みである。現在の水戸上水道の水揚げ場から、七、八町上流だ。竿二本と仕掛けを作り上げ、ひる少しまわったころ釣り場へ着いた。