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なかがわのすずきつり
那珂川の鱸釣り
佐藤 垢石
「釣趣戯書」三省堂、1942(昭和17)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,507 字 · 7 页
付近の農家から、太い竹の棒を一本貰ってきて、それに吊るし、二人で水戸まで担いで帰ったのである。
こんな鱸の大漁は、はじめてだ。その後、東京湾口の落ち鱸釣りに、それ以上の数を釣ったことはあるが、落ち鱸は食味が劣っているから、盛期の川鱸釣りの興趣に比べれば、まるで問題にならない。私の父は、若いときから鮎釣りにたんのうで、随分大漁したことがあったそうだ。しかし、大ものをこんなに釣ったのは、生まれてはじめてだと言って、相好を崩して喜んだ。親の、喜んだ顔を想いだすのは、まことに楽しいものである。
最近きいた話であるが、かつて幸田露伴翁も那珂川で鱸の大釣りをやったことがあるそうだ。場所は、水戸市下市の汽船発着場の下手らしいが、小舟の胴の間一杯釣ったらしい。それは、もう二、三十年前の話であろう。そのころは、ずいぶん那珂川に鱸がいたものと見える。露伴翁は、餌に袋イソメとイトメを用いたと言う。
那珂川では、いまでも国田渡船場の上下から、上流の阿波山村地元まで、川蝦の餌で盛んに釣れているのである。