轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じゃしゅうもん
邪宗門
「東京日日新聞」1918(大正7)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,184 字 · 79 页
そう申せば姫君も、幼馴染のあなた様が御無事でいらっしゃると御聞きになったら、どんなにか御喜びになる事でございましょう。」と、ふだん私どもに向っては、返事をするのも面倒そうな、口の重い容子とは打って変って、勢いよく、弁じ立てました。これにはあの摩利信乃法師も、返事のしようさえなさそうにしばらくはただ、頷いてばかりいるようでございましたが、やがてその姫君と云う言を機会に、
「さてその姫君についてじゃが、予は聊か密々に御意得たい仔細がある。」と、云って、一段とまた声をひそめながら、
「何と平太夫、その方の力で夜分なりと、御目にかからせてはくれまいか。」
するとこの時橋の上では、急に扇の音が止んでしまいました。それと同時に私の甥は、危く欄干の方を見上げようと致しましたが、元より迂闊な振舞をしては、ここに潜んでいる事が見露されないものでもございません。そこでやはり河原蓬の中を流れて行く水の面を眺めたまま、息もつかずに上の容子へ気をくばって居りました。が、平太夫は今までの元気に引き換えて、容易に口を開きません。その間の長さと申しましたら、橋の下の私の甥には、体中の筋骨が妙にむず痒くなったくらい、待ち遠しかったそうでございます。