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とかいのなかのことう
都会の中の孤島
「小説新潮 第七巻第四号」1953(昭和28)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,205 字 · 27 页
誰かが狙わなきゃア、おかしいわよ。でもね。まさか、あんたが最初に狙うとは思わなかったわ。人は見かけによらないわね」
「よせやい。オレは立派な会社勤めがあってよ、まともの収入が月々五万以上もある人間なんだ。終戦後、小さいながらも、自分の家というものを建てている人間なんだぜ。ここへ飲みにくるほかの常連とは、はばかりながら種類がちがってらアな。オレがスパナーを持ってるのは、右平の奴がいつ襲ってきやがるか分りゃしないからさ」
「たのむわよ。下の人を殺らないでよ。イヤな奴だけど、こうして同居して、働いてるんだからね。血の海の中に、腐った魚みたいに目の玉とびだしてさ。なぐり殺されてんの、見たくないわよ。おお、ブルブル」
「おい。ヤなこと言うない」
「だってさ。私、こわいわよ。男は、みんな、こわい。何かのハズミに、思いきったことをやるわね。それはね、お金につまって、狙うのはいいけれど、ちょッとでも顔見知りの人はやらない方がいいわよ。いくらイヤな奴で、握ってるのが分ってるからとはいえ、こうして私がねてる下の人でしょう。私、イヤだよ。ギャアーなんて悲鳴に、目をさましちゃ、やりきれやしないよ。