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さかぐら
酒倉
小川 未明
「読売新聞」1918(大正7)年10月24日~25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,622 字 · 4 页
甲の国の大将は、このさびしい火の消えたような村の中を見まわりました。どこかに食べ物が隠してないかと思ったのであります。けれどどこにも、食糧品がなかったのです。大将は微笑みました。そうして心の中でいったのです。
「ははあ、これは、いつかおれが敵を困らしてやった策略をそのまま、おれに当てはめようとするのだな。ばかなやつらめ。」と、見まわって歩きました。
すると、草原の中に、ただ一人の少年がすわっていました。太陽の光は、その少年の頭を熱そうに照らしています。
「おまえは、そこでなにをしているのだ。」と、大将は少年に声をかけました。
「私は、びっこです。みんなといっしょに逃げることができませんから、しかたなくこうしています。」と答えました。
「おまえは、どの井戸や、酒倉に毒を入れたか知っているにちがいない。それを教えればよし、教えないと承知をしないぞ。」と、大将はいいました。
少年は、この村の三軒の酒倉だけには毒が入っているが、ほかは毒が入っていないと告げました。これを聞いた大将は考えていましたが、やがてみんなに命令を下して、
「みんなは三軒の酒倉の酒を飲め、そのほかは、どれも毒が入っているぞ。