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よっぱらいぼし
酔っぱらい星
小川 未明
「赤い鳥」1920(大正9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,116 字 · 9 页
お母さんに別れ、うそが死んでからというものは、佐吉は、さびしい日を送りました。お父さんは、正直ないい人でしたけれど、なにしろ家が貧しかったので、佐吉に、思うように勉強をさせたり、佐吉の欲しいものを買ってくださることもできませんでした。お父さんは朝、仕事に出て、日が暮れると帰ってきました。いままでは、日が暮れてからのお使いは、たいていお母さんがしましたが、お母さんの死後は、佐吉がしなければなりませんでした。
「佐吉や、お酒を買ってきてくれ。」と、お父さんにいわれると、佐吉は町まで酒を買いにいかなければなりませんでした。そして、まったく夜になって、床の中に入りますと、いつも高窓から一つ星の光がもれてさすのでありました。それを見つめていますと、それが星でなくて、やさしいおじいさんの顔になって目に映るのでありました。その顔が、佐吉にうそをくれたおじいさんの顔のように思われたのであります。
佐吉は、夜ごと、その星をながめて空想にふけりました。そこで、そのうち手足の寒いのも忘れて、いつしか快い眠りに入るのがつねでありました。
ある冬の、木枯らしの吹きすさむ晩のことでありました。