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しゅうぶん

醜聞

山本 周五郎

「小説新潮」新潮社、1964(昭和39)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,900 字 · 46 页

青空文庫

「三十石の馬廻りにせよ、おまえも侍の娘なら侍がどんなものか知っていた筈だ」

「知ってましたとも、ええ知ってました、でもあたしの知っている人たちは、侍気質をもった人間でしたよ」さくらはまた酒を注いで飲んだ、「雪がこなければ座敷には火を入れない、年がら年じゅう一汁一菜、起きるから寝るまで袴もぬがず、膝も崩さない、――こんなことは功刀の家風でもあり、よそにも例のないことじゃないでしょう、あたしだって、もしあなたに少しでも人間らしさ、夫婦らしい愛情や劬りがあったら、そのくらいのことは辛抱しましたよ」

「あやまちを犯す人間は、たいてい責任をひとになすりつけるものだ」

「あたしがなにをなすりつけました」

「いま自分の云ったことを考えてみろ」

さくらは頭を垂れて左右に振った。ききわけのない子供に呆れはて、もう言葉もない、とでも云いたそうな身ぶりであった。

「あたしがもし、あんたになにかなすりつけたとすれば、あたしよりもあんたが傷ついた筈よ、ああだめ」さくらは功兵衛にものを云わせまいとして手を振った、「あたしを病気で死んだことにし、偽の葬式まで出したのをあたしのせいだなんて云うんならよしておくれ、あのときもしはらがたったなら、あたしと吾平に追手をかけ、伴れ戻して二人を斬ればよかったんだ、世間ていは悪いかもしれないが、あんたにはお