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のぎくのはか
野菊の墓
伊藤 左千夫
「ホトトギス」1906(明治39)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,539 字 · 67 页
という様な随分痛い小言を云った。民子は母の枕元近くへいって、どうか私が悪かったのですから堪忍して……と両手をついてあやまった。そうすると母はまたそう何も他人らしく改まってあやまらなくともだと叱ったそうで、民子はたまらなくなってワッと泣き伏した。そのまま民子が泣きやんでしまえば何のこともなく済んだであろうが、民子はとうとう一晩中泣きとおしたので翌朝は眼を赤くして居た。母も夜時々眼をさましてみると、民子はいつでも、すくすく泣いている声がしていたというので、今度は母が非常に立腹して、お増と民子と二人呼んで母が顫声になって云うには、
「相対では私がどんな我儘なことを云うかも知れないからお増は聞人になってくれ。民子はゆうべ一晩中泣きとおした。定めし私に云われたことが無念でたまらなかったからでしょう」
民子はここで私はそうでありませんと泣声でいうたけれど、母は耳にもかけずに、
「なるほど私の小言も少し云い過ぎかも知れないが、民子だって何もそれほど口惜しがってくれなくてもよさそうなものじゃないか。私はほんとに考えると情なくなってしまった。かわいがったのを恩に着せるではないが、もとを云えば他人だけれど、乳呑児の時から、民子はしょっちゅう家へきて居て今の政夫と二つの乳房を一つ宛含ませて居た位、お増がきてからもあの通りで、二つ