轻松读懂日语经典作品
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きんごじゅうりょう
金五十両
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,843 字 · 23 页
世の中がどれほど金と我欲と騙りで出来ているか、彼は骨身にしみて味あわされている、それなのにこんな大枚の金を道の上で、処も名も素性も知れぬ者にことづける人間があるだろうか。
「お伽草紙に書いて女こどもに読ませたって信じやあしない、わかりきったこった」
往くのは止そう、幾たびもそう考えたが、お滝との約束を破るということが気を咎め、ずるずると不決断な旅を続けて、とうとう七日めに膳所へゆき着いてしまった。
もう昏れていたのでその夜は宮前という処に宿り、明くる日はやく中大手西ノ辻を尋ねてみた。
藤巻という家はあった、古びた黒い笠木塀をめぐらせた小さな構えで、門からひと跨ぎの処に玄関が見える、宗吉はいちど通り過ぎて戻り、思いきって玄関に立った。声をかけると若い侍が出て、「とりこみ中だから主人は会えない」と云った。
「源之丞という方からお言伝を持ってまいったのですが」
「なに源之丞どのから」
侍は急いで奥へ去り、すぐ出て来て庭へまわれと云った。そこから左へまわると三十坪ばかりの庭になり、床の高い縁側に五十歳あまりの中老の武士が立っていた。宗吉は腰を跼めて近寄り、持って来た袱紗包を取出しながら、馬郡の宿での仔細を話した。