轻松读懂日语经典作品
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きんごじゅうりょう
金五十両
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,843 字 · 23 页
二
「お願いだからよして下さい、そんな風に笑われると胸が痛くなってくるわ」
「手玉に取ったことでも思いだすのかい」
「わざと憎まれ口をきくことはないの、そんな柄じゃないことは御自分で知っているんでしょう、いいからおあがんなさいよ、酔ったときぐらい人間はすなおになるもんだわ」
男は初めて相手の顔をつくづくと見た。二十五にはなっているだろう、お滝のゆったりと角の取れた躯つき、面ながの肌理のこまかな顔、眉や眼は少し尻下りで、唇は薄手にのびやかな波をうっている。
決して美しくはないが、美しいよりもっと人を惹きつけるもの、云ってみれば子に甘い母のようなふところの温たかさ、誘うような懐かしい感じを持っていた。殆んどびっくりしたような眼でお滝を見まもっていた男は、やがて頭を垂れながらふんと鼻で笑った。
「すなおになれか、ぶん殴って置いて泣くなと云うやつさ、わかってるよ」
こう云って彼はたて続けにぐいぐいと酒を呷った。
「たいしたこたあねえや」
「酔うがいいわ、そしてゆっくりおやすみなさい、あなたは疲れてらっしゃるのよ」
二
男は柏屋に三日泊った。
宿賃も持ってないことは察しがついたけれど、お滝はあたしがひきうけるからと云って、朝から膳に酒を付けさせ、暇なときは自分が酌をしに坐った。