轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きんごじゅうりょう
金五十両
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,843 字 · 23 页
宿帳には江戸日本橋どこそこ某店で宗吉、年は未の二十六と書いた。上手ではないが書き馴れた字癖で、商人育ちということがわかる。
……たぶん住所からなにからでたらめだろうが、宗吉という名はひとがらに似合っている、お滝はそう思った。
三日めの晩だった、あまり強そうでもない酒を、すすめられるままにやや飲み過した男は、それ以上もう黙っていられないという調子で、身の上を語りだした。
かなり強く雨が降っていて、他には珍しく客もなく、まだ宵のくちだというのに家の中はひっそりと物音も聞えなかった。
「馬喰町二丁目のその太物問屋に十一から二十二まで勤めた、七つの年おふくろに死なれ九つの秋にお父っさんが死んだあとおふくろの兄に当る五兵衛という人の手で育てられ、近江屋へ奉公するにもその伯父さんが親許だった。
人はごく好いんだがずぬけた酒好きで、担ぎ八百屋の稼ぎくらいでは追付かないほど飲んだ、宗吉なんとも済まねえがな……こう云って、よく店へ飲み代をせびりに来た、痩せこけた顔に無精ひげを伸ばして、猫背の肩を竦めながら、水洟を啜り啜り僅かな銭をせびるんだ、どんなに僅かでもまだ小僧の身には痛かった、けれども厭じゃあなかった、店を閉めたあとの買食いはお店者の楽しみの一つになっている、その仲間はずれになっても、幾らかずつ溜めて置くようにした。