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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

「待て、それを使うな。わしは抵抗しない」

始めからいた針目博士が、苦しそうな声で押しとどめた。もはや蜂矢探偵の頭上に、一撃を加えるどころのさわぎではない。かれ自身がすくんでしまったのだ。

「蜂矢さん。もうだいじょうぶだ。横へ逃げなさい」

あとからあらわれた針目博士がいった。

いったい、どっちがほんとうの針目博士であろうか。

蜂矢探偵は、壁ぎわをはなれて、自由の身となったが、この問題を解きかねて、あいさつすべきことばに困った。

「おい、金属Q。こんどは、廻れ右をして壁を背にして、こっちへ向くんだ」

金属Q――と、しきりに、あとからあらわれた博士が呼んでいるのが、はじめからいた方の針目博士のことだった。――ほんとかしら――と、蜂矢は目をいそがしく走らせて見くらべるが、顔はよく似ていて、くべつをつけかねる。

金属Qと呼ばれた方の博士は、しぶしぶ動いて壁に背を向け、こっちへ向きなおったが、とつぜん早口で叫んだ。それは、妙にしゃがれた声だった。

「きさまこそ、金属Qじゃないか。わしは針目だぞ、ごまかしてはいかん。しかし、わしは今、抵抗するつもりはない」

頭に繃帯を巻いた方が、こんどは機銃みたいなものを抱えた方にたいし、金属Qよばわりをするのだった。