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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

しかしかれの足を斬ったという凶器はいったいどこにあるのか。

「その傷をこしらえた刃物は見つかったかね」

検事がきいた。

「それがそれが……見つからないんです。おかしいですなあ」

「よく探してみたまえ。みんなも、手わけをしてさがしてみるんだ」

検事の命令で、捜査係官は警部のまわりを一生けんめいにしらべた。押入れ、ふとんの中、ふとんの下、かもい、床の間、つんである品物のかげ――みんなしらべてみたが、ナイフ一ちょう出てこなかった。

「へんだなあ。なんにもないがねえ」

「そんなに深い傷をこしらえるほどの品物もないしねえ……」

まったくふしぎなことである。

そのとき田口巡査が入ってきて、このありさまを見るとびっくりして、警部のそばへよってきた。

「どうなすったんですか」

「足を斬られたらしいんだが、その斬った兇器が見あたらないんだ」

「おお、田口君。きみはいったいどうしたんだ」

検事が、とんきょうな声を出した。

「どうしたとは、何が……」

田口はけげんな面持ちである。

「きみの顔から血が垂れている。痛くないのか。ほら、右のほおだ」

「えっ」

田口はおどろいて、手をほおにあてた。