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きんぎんこばん
金銀小判
小川 未明
「良友」1920(大正9)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,359 字 · 5 页
そして、戸を細めに開きますと、外は身を切るような寒い風が吹いて雪が降っています。まだ八つか九つになったばかりの子供が、真っ白の体をして、すすけたうす暗いちょうちんをさげていました。
「おおかわいそうに。」と思って、幸作は、小判の一包みを買ってやりました。
子供は、幾たびもお礼をいって出ていきました。幸作は、せんべいで造った小判をねずみに食われてはつまらないと思って、それを戸だなの中にしまって、またこたつに入って、いつしかグーグーと寝入ってしまいました。
幸作は夢を見ました。それは、買った小判がほんとうの金銀の小判で、自分は大金持ちになったという夢を見たのであります。彼は驚きと喜びから目をさましました。そして、自分はいつしかこたつに入って眠ったことに気づきますと、すべてが夢であったと思われてがっかりとしたのであります。
しかし、どうしてもそれでは、なんとなくあきらめられないような気持ちがして、わざわざ起き出て、戸だなを開けて、小判を取り出してみますと、それは取り上げられないほどの重みがありました。幸作は、ますます不思議に思って、それを両手でつかんで畳の上へ下ろしてみますと、いつのまに変わったのか、まったくほんとうの金銀の小判の包みでありました。