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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
09 怨霊首人形
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,598 字 · 26 页
や、や眉毛がねえぞ。だが、顔付は皆目わからねえ。よくもこう切り細裂えたもんよなあ。怨恨だ、なあ勘、われに訊くが男の恨みでいっち根深えのあ――?」
「はあて、知れたこと。女出入りさ。」
「おう、そこいらだんべ。この界隈に行方知れずは?」
「ありゃあ耳に入るはず。」
「だが勘、昨夜の今朝だぞ。」
「これだけの人たちだ、心当りの者あ自身突ん出て来やしょう。」
「うん。それもねえところ見りゃあこの首あ遠国の者かな――が、江戸も広えや、のう。」
「あいさ、斬口あ?」
「鈍刀だ、腕もねえ――さ、口中だ。歯並び、舌の引釣り、勢があるぞ。」
「若えな。」
「うん。二十二三――四五、とは出めえ。細頸――小男だな。勘、聞け、好えか、二十二三の若白髪、優型で眉毛のねえ――これが首の主だ、どうでえ、野郎、ぴんと来るか。」
「いっこう来やせんね。」
「だらしがねえな。」薄笑いが藤吉の口尻に浮ぶ。「首は宜え。が、胴体がどうした?」
「どこにどうしてござろうやら、さ。」
「そのことよ。俺にも見得が立たねえ。犯人は?」
「へっ、真闇黒。勘弁ならねえや。」
「はっははは、御同様だ。勘、掘じくれ。」
突如藤吉の指さす方、天水桶の傍に、紫の煮出し殻を四角の箱から開けたまま強飯みたいに積み上げてある江戸紫屋自慢の看板。