轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
てつのきりつ
鉄の規律
平林 初之輔
「新青年 第一二巻第一〇号」1931(昭和6)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,016 字 · 30 页
そして、十一時になったら、三十号がひとりでここへひき返してくるかわりに、一隊の警官でこのビルディングを包囲するかもしれないという考えが期せずして二人の頭の中に起こったのであった。だがどんな疑いが起こったにもせよ、二人は、ねじを回された歯車のように本部の命令を実行するよりほかはなかった。というのは、党員自身は、他の党員のことも、党の本部がどこにあるかということすらもぜんぜん知らなかったのであるが、党の中央委員には全国の党員の一挙手一投足が、手にとるようにわかっていて中央委員の命令に対する違反、不従順は即座の死をもって罰せられることになっていたからだ。
「七十六号!」としばらくたってから二百二十四号が低い声で言った。「君はさっきから馬鹿にぴくぴくしてるようだな。今度の東亜局長暗殺の命令は、よほど君に衝撃を与えたと見えるが、大丈夫かい?」
しばらく不気味な沈黙が室内を頷した。五燭の電灯はだんだん暗くなるように思われた。
「実はこの命令には僕は驚いたのだ」としばらくしてから七十六号が言った。「僕はこういう非常手段には個人としては反対する。だが中央委員の命令は党員にとっては、万有引力と同じ力を持っていることはよく知っている。