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『はちのこ』から『ごちゅうあん』まで

『鉢の子』から『其中庵』まで

種田 山頭火

「「三八九」復活第四集」1932(昭和7)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,548 字 · 10 页

青空文庫

当村居住の確実な保証人を二人立ててくれというのである。幸にして幸雄兄の知辺があるので、紹介して貰って奔走したけれど、田舎の人は消極的で猜疑心が強くて、出来そうで出来ない。一人出来たと喜べば、二人目が破れて悲しませる。二人目が承諾すると、一人目が拒絶する。――私はこの時ほど旅人のはかなさを感じたことはない。

ひとりきいてゐてきつつき

思案にあまって、山路をさまようて、聞くともなく、そして見るともなく、啄木鳥に出逢ったのであった。

私は殆んど捨鉢な気分にさえ堕在していた。憂鬱な暑苦しい日夜であった。私はどうにかせずにはいられないところまでいっていたのである。

だが、私はこんなに未練ぶかい男ではなかった筈だ。むろん人間としての執着は捨て得ないけれど、これほど執着するだけの理由がどこにあるか。何事も因縁時節である、因縁が熟さなければ、時節が到来しなければ何事も実現するものではない。なるようになれではいけないが、なるようにしかならない世の中である。行雲流水の身の上だ、私は雲のように物事にこだわらないで、流れに随って行動しなければならない。

去ろう、去ろう、川棚を去ろう。