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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

国枝史郎『銅銭会事変 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銅銭会事変、大鵬のゆくえ、紅白縮緬組、三甚内。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,745 字 · 216 页

青空文庫

人工の大鵬! 天翔ける怪物!

「あっ!」

と紋太郎が声に出し嘆息したのは当然でもあろうか。

「こっちへ」

と云ってビショット氏は二人を大広間へ導いた。眼を驚かす世界の名画! それが無数にかかげられてある。

快よい日光。……南国の日光。……その早春の南国の陽が窓から仄かに射し込んでいる。

一つの額を指差した。

「ダ・ビンチの名画基督の半身!」

ビショット氏は微笑した。

「この人ですよ十三世紀の昔に、飛行機製作に熱中した人は! 先駆者! そうです、芸術と科学のね!」

丸山作右衛門に旅費を借り、紋太郎が江戸へ帰ったのはそれから一月の後であった。

彼は直ちに西丸へ伺向し、事の次第を言上した。

「てっきり大鵬と存じたにさような機械であったとは、さてさて浮世は油断がならぬ。日進月歩恐ろしいことじゃ。今日より奢侈を禁じ海防のために尽くすであろう。それに致しても江戸から長崎、長い道程を大鵬を追い、ついに正体を確かめたところのそちの根気は天晴のものじゃ。三百石の加増、書院番頭と致す」

小石川区大和町の北野神社の境内の石の階段を上り切った左に、東向きに立てられた小さな祠が、地震前まであった筈だ。