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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

国枝史郎『銅銭会事変 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銅銭会事変、大鵬のゆくえ、紅白縮緬組、三甚内。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,745 字 · 216 页

青空文庫

これに叛くものは九指を折らる」

九指とは九族の謂であった。

春の闇夜を数時間に渡って、無言の格闘が行われた。

その結果は意外であった。銅銭会員は全部死んだ。すなわちある者は舌を噛み、またある者は水に投じ、さらにある者は斬り死にをした。

将軍家柳営へ帰る

この間も屋敷の表門は、鎖されたまま開かなかった。

捕り物がすっかり片付いた時、始めて門はひらかれた。

驚くべき光景がそこにあった。銅銭会員十六人が、髪縄で絞首されていた。髪縄の一端には分銅があり、他の一端は門の柱の、刳り穴の中に没していた。

十六人のうち三人が、辛うじて蘇生をすることが出来た。その三人の白状によって、事件の真相が明瞭になった。

その夜の暁千代田城内には、驚くべき愉快な出来事があった。いつもの将軍家の寝室に、紛失したはずの将軍家が、ひどく健康そうな顔色をして、グッスリ寝込んでいたものである。

眼を覚ますと家治はいった。

「おれはうんと書物を読んだよ。実際浮世にはいい書物があるなあ。はじめておれは眼が覚めたよ。さてこれからは改革だ。政治の改革、社会の改革、暮しいい浮世にしなければならない」