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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

野村胡堂『銭形平次捕物控(十三)青い帯』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次打明け話。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 页

青空文庫

「盗られた物は?」

「何にも盗られなかったそうですよ」

「なるほどそいつは少しおかしいな。――もう少し見張っているがいい。こんな時でもなきゃ、大っぴらに水茶屋に入れ揚げられめえ」

「へッ、まあそんなことで」

八五郎は素直に帰って行きましたが、それから五六日経つと、「大変」の旋風を起してやって来ました。

「親分、大変」

「とうとう来やがった。今日あたりはそいつが来るような空合いだと思ったよ」

「落着いちゃいけませんよ。越前屋の娘が殺されたんですぜ」

「なんだと?」

平次もさすがに驚きました。こいつはいつもの大変とは仕入れが違いそうです。

「親分、ちょっと行ってみて下さい。あっしが下手人を挙げなきゃ、金釘流の手紙の手前、男が廃りますよ」

「よし判ったよ。八五郎の男が廃っちゃ気の毒だ」

銭形平次は正月早々神輿をあげて、この一風変った難事件に首を突っ込んでみる気になったのでした。

二

越前屋半兵衛というのは、本石町四丁目の越前屋半十郎の出店で、公儀御用の下請負までする蝋燭問屋ですが、主人の半兵衛は五十二三の働き盛りのくせに、雑俳に凝って商売の方を構わず、店は番頭の理八が采配を揮い、手代の吉五郎と福松を動かして、盛んにやっておりました。