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かぎやのつじ
鍵屋の辻
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《鍵屋の辻(かぎやのつじ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,524 字 · 25 页
「邪魔すなッ」
と大喝したから、思わず逃出す。
「数馬、助太刀はせぬぞッ」
と云い捨てて、二人きりの勝負とし、小者共を追いながら鍵屋の角から桜井半兵衛へかかって行った。
この早業は到底数馬には出来ない。荒木と共に走出したが、又五郎も期していた所である。供の槍を取るが早いかそれを力にしてひらりと左の方へ降立つ。
「又五郎、覚悟致せ」
「さあ、参れッ」
万屋も鍵屋もバタバタと戸を閉める。小田町は大騒ぎになった。数馬は又右衛門に仕込まれて相当の腕にはなっている。しかし真剣の立合はこれが始めてである。ただ敵に対した時の覚悟だけはちゃんとしていたらしい。美少年でも流石(さすが)は寛永時代の武士、中々味のある勝負をしている。又五郎は琢磨兵林によると真刀流の達人で、弱年の頃「猫又」を退治したと書いてあるが、「猫又」などという代物が怪しいように、又五郎の腕も判らない。その証拠には源太夫を殺した時に周章(あわて)て、止(とど)めも刺さなけりゃ、鞘まで忘れて逃出してしまっている。不良少年の強がりで一寸(ちょっと)人を斬っては見たが、度胸も腕もそうあったものとは思えない。それ以後二三年の修業だからまずは数馬と互角の勝負、ただ槍をもっているだけが強味という所である。