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かね

鐘

小川 未明

「童話の社会」1930(昭和5)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,745 字 · 6 页

青空文庫

「あのしんだいで、そのうえ、鉄工場の、利益配当が、たくさんあるのに、なんで、山男の炭なんかをごまかすような、けちなことをするのか。」

こういう、人の話をきくときに、少年には、みすぼらしい、いかりにもえた、山男の姿が、目にみえたのでした。

他国の寺から、大きなぼん鐘をこの町でひきうけたのは、それからのちのことでありました。

「大きなもんだそうだ。他の工場では、どこでもつくり手がないというので、この町へあつらえにきた。なにしろ寄進の金で、できるのだそうだから、この町の工場でも、職工にいいつけて、念をいれてつくっているということだ。」

こんなことばが、少年の耳にはいったとき、人のまねることのできない、どんな芸術品がうまれるだろうと、いろいろの美しい、鐘の形を、そうぞうにえがきました。

それは、ちょうど、夏も、やがていこうとするところであります。

「大きな鐘が、できあがって、港まで、車に乗せて、引かれていき、そこから船で、あちらへ送られるのだ。」と伝わりました。

「町じゅう、たいへんなさわぎだというから、ぜひ、けんぶつにいかなくてはならぬ。」と、村の人たちもいいました。