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かね
鐘
小川 未明
「童話の社会」1930(昭和5)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,745 字 · 6 页
その日、少年にとって、昼まえは、いそがしくて出られませんでした。いまごろ、鐘を引く行列が、町を通るであろう昼すぎになって、町へいこうとした、そのじぶんから、きゅうに天気があやしくなりました。つめたい風が、ふきだして、木立の葉や、たんぼにうわっている、とうもろこしの葉うらをかえして、それがなんとなく不安に、銀のごとく白くきらめいていたのです。
「降るかもしれないが、いってみようかな。」
少年は、ちゅうちょしましたが、ついに、灰色の雲のせわしそうに、頭の上を走る野原をひととびに走って、町へいきました。さすがに、両がわに、人は黒山のごとく集まっています。人をおしわけて、
「どんな、大きい、みごとな鐘か? どんな、形をしているか?」
少年は、のぞいてみようとしました。そして、かれは、なにをみたでしょう?
いく十人か、かき色の着物をきた、囚人が、列をなして、なわにすがり、それを引いていたのです。
「あっ……。」という、おどろきが、少年の口から出ました。もうそれをみる勇気もなく、しおしおとして、かれは、さっききた道を、村へもどりました。
「なんで、囚人になんか、引かせたのだろう?」