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あなんとじゅじゅつしのむすめ

阿難と呪術師の娘

岡本 かの子

「読売新聞」1928(昭和3)年5月6日~6月19日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,425 字 · 58 页

青空文庫

その五

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その五

(教団のあらくれた僧達が十人程、一条の縄を牽き合うて出て来る。)

僧一 ――何という呆れた態だ。僧が女の手を執り合って泣いて居る。

僧二 ――阿難。貴様はそれでも釈迦教団の幹部か。

僧三 ――平常世尊があまり阿難を甘くなさるので、増長してこんな事になる。

僧一 ――(釈尊に一礼して)破戒の比丘は絡め取って、教団から追放するのが掟で御座います。師よ。阿難を掟通りに致します。どうぞお許し下さい。

僧達 ――(一同声を揃えて)お許し下さい。

釈尊 ――(静かに振り向いて)騒がずともよろしい。勿論阿難は戒を破った僧であるゆえ掟通り行って差支ない。けれどもお前達の力で阿難が縛れるかどうかな。

僧一 ――何と仰せられます。縛られぬということが御座いましょうか。

僧二 ――わたくし達の腕は、戒律で鍛え上げて御座います。何の、恥知らずの若僧一人。

釈尊 ――ではお前達、阿難に一問かけて見よ。阿難がもし答えられなかったら即座に縛るが宜しい。

僧一 ――畏まりました。

(容を改めて大声に)縄、身を縛する時いかに。

阿難 ――何が縄だ。何が身だ。

(阿難、従容として後手に縛られる模様をなす。