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ずいひつぜにがたへいじ

随筆銭形平次

江戸川 乱歩

19 探偵小説このごろ

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,733 字 · 10 页

青空文庫

吉田首相へお礼しなくちゃア……

あんたが「写真報知」という週刊誌をやっているころ、ぼくに原稿を書かせてくれた。「新青年」以外に書いたのはそれがはじめてで、しかも新青年の倍の原稿料をくれた。まったく忘れられない。

野村 わたしの恩人は、亡くなった直木三十五でね。彼は「文藝春秋」にさかんにわたしを推賞してくれた。わたしは四十六歳になって小説を書きはじめたんだけど、妙なところに恩人がいるもんでね。山手樹一郎君も、わたしに「譚海」という雑誌に九年連載のものを書かしてくれた。

江戸川 一番古い捕物帖の作者というとやっぱり岡本綺堂かな?

野村 まァそうだね。それから佐々木味津三、林不忘……みんな亡くなってしまった。

江戸川 あの銭形平次の投げ銭……あんなことがむかしあったのかな?

野村 いや、それをラジオの「朝の訪問」のアナウンサー君にきかれて弱った。あんなのは実際にはなかったろうな。わたしのは「水滸伝」に出てくる没羽箭張清という豪傑、腰に錦の袋を持っていて、その中から石ころをとって投げる。これにはさしもの黒旋風も悩まされるんだが、それにヒントを得たといえばいえるし……。

吉田首相へお礼しなくちゃア……